セミナー後記

第2回 経営者向けセミナー[終了]

第2回経営者向けセミナー[終了]

- 本気で変えるならいま!事業を成功に導くDXとは -

 2024年3月27日(水)に経営者向けセミナー「本気で変えるならいま!事業を成功に導くDXとは」を広島コンベンションホールとオンライン開催し、合計186名(広島コンベンションホールでは83名、オンラインでは103名)と多数の経営者や経営に関わる方々にご参加いただきました。

 今回のセミナーは経営者特別講演、DX実践道場参加事業者の成果発表及びパネルディスカッションの2部構成で行いました。

前半:経営者特別講演

 まず、前半の講演パートではDXの実践者で成功ストーリーをもつ2名のゲストにそれぞれ以下のテーマでお話しいただきました。

【講演1】 ゲスト:有限会社ゑびや/株式会社EBILAB 代表取締役社長 小田島春樹氏 「伊勢の老舗食堂「ゑびや」の事例〜老舗企業がどうDXを実現し変革をなしとげたのか〜」 【講演2】 ゲスト: 株式会社丸菱製作所 専務取締役 本部長 戸松裕登氏 「技術を出品する製造業のフリマサイト、 ASNAROによって目指すもの」

 講演1では、「経営を楽にする」「利益を上げる」の2点達成を目的に、実践的で効率的な経営を実現したお話をしていただきました。「経営を引き継いだ時点から従来のアナログ仕事と将来的な事業展開に強い危機感をもち、IoTを活用したデータ分析とSaaS導入によるデジタル化に取り組みました。各種のデータ分析テンプレートを活用し、人流、POS、来客、アンケートなどを分析して経営を可視化し、取組の効果測定を可能にすることで、生産性や顧客満足度を向上させました。」結果として、「生産性向上に伴う余剰人員を活用して、単価の高い新商品の開発や、店舗ビジネス向けのデータ分析システムの開発などにより、売上・利益が向上し経営再建につながった」とのことでした。さらに、「今後も自社の仕組みを横展開する新規ビジネスを行いたい」などと、成長できる余地があるとのお話をいただきました。また、講演者からは、「デジタルツールは導入した後もデータを分析・活用して行動(アクション)につなげることが重要」との指摘がありました。実際にデータ分析、数値予測をして終わらず、データに基づいた取組を実践されており、例えば発注・在庫管理などにおいて、手作業で入力することなくデータはすべて自動収集し、自動発注するなど、社内で浸透・継続するための「仕組化」を徹底されている点が非常に印象に残りました。最後に社内のデジタル人材の育成について、店長をデータベースエンジニアにしたり、キッチン業務担当をデータ活用商品開発担当にしたりするなど、限られた社内のリソースを最大限活用している事に言及されていました。参加された方々は、テクノロジーとデータを活用した根拠に基づく取組に関心を寄せ、自社のDXを通じた変革実践に思いを新たにされている様子でした。

 講演2では、講演者から製造業界全体の課題として、事業継続の問題をデジタル技術で解決しようとする取組そのものを新たなビジネスとするストーリーが語られました。「当初は自社の事業が主要顧客との間で既存の商流・サプライチェーン頼みのいわゆる一本足経営に依存していたため、売上・利益の維持・拡大や将来への投資が困難で事業継続が見通しづらく次世代へ事業承継するのを躊躇していた」とのことでした。その時に「この設備が壊れたら事業をやめる」という協力会社の話を聞き、「実は自社も同じ状況ではないかという危機感から、新規事業として、中小企業が持つ製造技術を商品として売買することができる受発注プラットフォームの開発・運用を実現し、その技術を必要とする企業が既存の多重下請け構造を通さずに受発注を行うことできるようになりました。」とのことでした。結果として、「2年間で約500社に営業することで登録率70%」という実績も残されました。講演者はDXの取組を通じ、次世代に製造業の希望を残していきたいとの思いを終始一貫して高い熱量で話されていました。参加された方々は、DXを単なるツールの導入と捉えず、自社に留まらず相手方の事業の成功も共通目標に据えた新規事業を作り出すという取組に共感し、自社のDXをさらに進める意欲を高めておられる様子でした。

後半:DX実践道場成果発表

 後半のDX実践道場成果発表では、湯﨑英彦広島県知事がコメンテーター、株式会社デジタルトランスフォーメーション研究所の代表取締役である荒瀬光宏氏がファシリテーターとなり、DX実践道場参加事業者3社が成果発表を行いました。

<登壇者>  DX実践道場参加事業者① 株式会社カワミツ 代表取締役 河野泰樹 氏  DX実践道場参加事業者① 株式会社カワミツ 係長 藤野晋哉 氏  DX実践道場参加事業者② シンワ株式会社 代表取締役 太原真弘 氏  DX実践道場参加事業者③ 有限会社備後レポート社 代表取締役 二宮恵 氏  広島県知事 湯﨑英彦
<ファシリテーター>   株式会社デジタルトランスフォーメーション研究所 代表取締役 荒瀬光宏 氏

 【DX実践道場参加事業者①(建設業)】  工事現場での情報共有の効率化と人手不足の解消、および技術継承を取組テーマとして、スマートグラスを活用して現場作業者に対して熟練者によるリアルタイムでの遠隔支援の実証に取り組み、現場の作業時間の削減による効率化と、簡易作業から高度作業まで網羅した現場対応とスキルチェックによる技術継承の実現が図れたと発表がありました。

 【DX実践道場参加事業者②(卸売業)】  経理業務の効率化と基幹システム見直しの検討を取組テーマとして、手入力作業を削減するため、RPAツールを活用して手作業を自動化・効率化し、本来業務に注力できる見込みを立てたこと、および業務フロー図を作成し、業務全体を整理した上で、社内にDX推進チームを創設して効果測定・検証を実施することで社内風土の醸成に取り組み、効果的な稼働削減を実現したと発表がありました。

 【DX実践道場参加事業者③(情報通信業)】  ChatGPTの革新性が事業に及ぼす影響に着目して、記事の作成・校正等の手間のかかる作業を軽減する業務効率化に取り組み、効果的な稼働削減を実現したと発表がありました。

後半:パネルディスカッション

最後のパネルディスカッションでは、先程の成果発表の登壇者でディスカッションを行いました。

<登壇者>  DX実践道場参加事業者① 株式会社カワミツ 河野泰樹 氏  DX実践道場参加事業者② シンワ株式会社 太原真弘 氏  DX実践道場参加事業者③ 有限会社備後レポート社 二宮恵 氏  広島県知事 湯﨑英彦
<ファシリテーター>   株式会社デジタルトランスフォーメーション研究所 荒瀬光宏 氏

 パネルディスカッションでは、「DXを推進する上での苦労点とそれを乗り越える方法について」と「自社の将来像を実現するためのDX実践の方向性について」という2つのテーマで議論しました。

 【テーマ1】「DXを推進する上での苦労点とそれを乗り越える方法について」

 「社内へのDX浸透の課題」

 河野氏からは、「DXを推進する上での問題としてよく挙げられる「社内のDXの取組に対する理解」については、お客様からの信頼獲得や社員が保有するスキルの定着・継承など、事業の精度を向上させるためにDXが必要であることを、社員が納得できる内容で説得していくことが重要」という指摘がありました。

 太原氏からは、「当初はDXの情報を集めることに集中するあまりDXで解決すべき課題が不明確になっていたところ、DX実践道場の伴走支援が大きな助けとなり、社内の課題を明確にできたことで社内の同意を得られた」と言及されました。

 二宮氏からは、「単にシステムを導入するだけではなく、どのように活用できるか、どこまで使い込めるかといった課題を設定し、限られた予算と人材の範囲内で解決できれば事業のさらなる発展につながる」という意見がでました。

 荒瀬氏からは、社内のDXの理解定着には「部分最適ではなく目指すビジョンを共有して全体最適を志向すること」「DXを目的と捉えず手段と位置付けること」「DXを推進する上での問題点はひとつずつ丁寧に検証して懸念払拭に努めること」が重要とのまとめがありました。

 「予算配分・算出と導入システムの課題」

 太原氏からは、「業務効率化を予算内で実現するために、DX実践道場の伴走支援を活用し、課題を見える化して、いきなり全てに対処するのではなく、部分的に対処することで予算面をクリアした」と説明がありました。

 二宮氏も、太原氏と同様に「DX実践道場の伴走支援が強い味方となり、システム導入の優先順位や採算性の検討に対し助言を得ることで、自社の業務内容に則した必要かつ十分なシステム導入を実現できた」とのことでした。

 荒瀬氏からは、「以前は嵩みがちだったシステム化投資も近年は技術イノベーションにより、簡単に試せるツールが増えてきており、ハードルが下がっているので積極的に活用してほしい」との補足がありました。

 「DX人材の課題」

 DX人材の育成や確保が課題にあがる中、太原氏からは「経営者の率先垂範のスキルアップ姿勢と諦めずに続けることの重要性」、二宮氏からは「DX実践道場の伴走支援を引き合いに、外部人材の協力でDX推進の糸口を導き出すこと、社内のDX推進チーム発足の重要性」、そして河野氏からは「社員のチャレンジ意欲を刺激して本人の達成感やメンタルヘルスの面で好循環をつくることの重要性」についてそれぞれ意見がありました。

 荒瀬氏からは、「外部の協力を得ること」、併せて「社内で人材強化に努めること」の両面が重要というまとめがありました。

 以上、一連の課題についてのディスカッションを通じ、DX実践道場参加事業者の3名の方には、DXに取り組む様々な契機があり、それぞれの抱える課題に真摯に向き合い、DX実践道場の伴走支援など外部のサポートも得つつヒントを見つけ突破口を切り拓いてこられたのが印象的でした。

 湯崎広島県知事からは、DX実践道場参加事業者の共通項として「経営者がDX推進を決意すること」「無理せずできるところから着手すること」「それぞれの会社に合った最適解を見つけること」と言及がありました。そして「DXの取組をワンサイクル回すことにより人材が育ちさらにその次のステップへ進める。次のステップに取り組む『決意』は経営者でないとできない。経営者自身がやらなければいけないと『決意』することが大切」と参加された方々へ強い期待を示しました。

 【テーマ2】「自社の将来像を実現するためのDX実践の方向性について」

 二宮氏からは、「OCRによる文字認識や人工知能AIを使いこなせる人材を増やすなどしてさらに業務を効率化し、手間がかかる作業に取られていた時間を、リアルに会いたい人と出会うなど「アナログ」の時間に振り向けそこからまたDXにつなげたい」との抱負が語られました。

 太原氏からは、「従来のルーティーン作業から解放して時間をより創出し、「雑談」から生まれる新商品の開発など今後のサービス創出に充当する時間を増やしたい」との指摘がありました。

 河野氏からは、「時間の創出に加え、新たな発想で新たなものを生産し、事業の精度を上げることで社員の意欲向上や企業風土の変革につなげていきたい」との強い決意が示されました。

 河野氏のコメントに呼応するように、太原氏からは「社内のDXチームの発足」、二宮氏からは「勤怠管理ツール導入により働き方改革の実現につながった」といった意見がありました。

 荒瀬氏からは、「各社がそれぞれ方向性を定めてDXを実践しつつも、顧客の課題を解決する、業務を改善するなど、人にしかできない業務に時間とリソースをシフトさせることが重要で、人の豊かな暮らしを実現するための手段としてDXを捉える。それぞれの組織の状況にあわせ、無理せず段階的なDXを進め、かつ変革をつづけることが重要、新しいデジタルサービスの提供にあたっては、市場の考え方自体も変えていくことも時に必要である」との指摘がありました。

 最後に、湯﨑広島県知事からは、「生産性を向上させるスパイラルを回し続けることの重要性を経営者が強く認識し、まず分母のコスト削減で生産性を上げ次に分子の売上を上げるサイクルを、企業規模の大小に関わらずそれぞれの歩みに応じてファーストステップ、セカンドステップ、サードステップと進めていただきたい」と期待を込めた結びの一言があり、ディスカッションを締め括りました。

DX簡易診断ツール無料体験会

 セミナー会場に併設して「DX簡易診断ツール無料体験会」のブースを設営したところ、多くの参加者に体験いただきました。

 なお、「DX簡易診断ツール」では、自社の課題を客観的に診断し、課題解決の参考となる事例や補助金等の支援メニューの提案ができます。

 DX簡易診断ツール:https://dx-hiroshima.jp/shindan/

セミナーを終えて

 今回のセミナーは、第1回の経営者向けセミナーに始まり、DX実践道場、事例研究会など「ひろしまDX」の一連の取組の集大成と位置付け開催しました。

 セミナー実施後のアンケートでは「成功体験をもつ経営者の講演を聞いて先駆的な事例の学びになった。その着想・発想や行動姿勢を採り入れて自社のDXを進めたい」「DX実践道場の成果発表を聞いて、実際に発生した課題・苦労に加え、それを乗り越えるための対策や、実効性を高めるポイントまで理解できた。自社の目指す将来像実現に向けたDX活用の方向性や実現ステップが具体化した」などコメントがありました。参加された方々は、DXの成功ストーリーや、身近な経営者が苦労を乗り越えながらDXを推進する姿勢に直接触れることで、すでに広島全体でDXへの機運が高まっている雰囲気を感じ取り、さらなるDX推進に向けて気持ちを新たにしておられる様子でした。

 なお、広島県では、今後もDX推進に向けた様々な取組を行ってまいります。まずは、「広島県DX推進コミュニティ」へご加入ください。広島県等が行う各種セミナーや支援策などの情報を発信しています。

 DX推進コミュニティメンバーへの加入申込み:https://hiroshima-dx.jp/pages/25/

プログラム(予定)

入場受付
13:00
セミナー開始
13:30
13:30-13:55

経営者特別講演 ①

伊勢の老舗食堂「ゑびや」の事例 〜老舗企業がどうDXを実現し変革をなしとげたのか〜

伊勢の老舗食堂「ゑびや」はどのようなステップで必要な技術を取り入れ、チーム組成をし、データを基に考える経営を成し遂げたのか。従業員を増やさず売上げ8.5倍、利益80倍以上を実現した背景と経営術、ゑびやで実際に行っているデータ活用法をお伝えします。

登壇者

小田島 春樹 氏

有限会社ゑびや/株式会社EBILAB 代表取締役社長

北海道出身。大学卒業後、ソフトバンクグループ株式会社入社。2012年に妻の実家が営む「ゑびや」に入社し、店長、専務を経て同年に妻家業の食堂ゑびやを継承し、代表取締役社長に就任する。2018年に第二創業でデータ分析事業のEBILABを創業、啓蒙、教育活動を通じてサービス業へのデータ分析、テクノロジー活用の拡大を目指す。同社の代表取締役CEO。Microsoft MVP (AI部門)連続受賞、第3回日本サービス大賞「地方創生大臣賞」、グレートカンパニーアワード2019「ユニークビジネスモデル賞」受賞など他多数受賞。

13:55-14:20

経営者特別講演 ②

技術を出品する製造業のフリマサイト、 ASNAROによって目指すもの

モノづくりの町、愛知県の下請け町工場、株式会社丸菱製作所が立ち上げた、製造業の受発注プラットフォームASNARO(アスナロ)。町工場のためのプラットフォームとは?そしてプラットフォームによって目指す町工場の姿はどのようなものか?中小企業、ITに苦手な製造業が取引のDXに乗り出す際に現れるいくつかの壁を乗り越えた経緯。新しいことに取り組むことによって生まれる様々なメリットを語ります。

登壇者

戸松 裕登 氏

株式会社丸菱製作所 専務取締役 本部長

愛知県春日井市にて1953年創業の金属加工業、丸菱製作所の三代目アトツギ。早稲田大学教育学部卒業後、家業である丸菱製作所に入社し、技術営業、新規事業部の業務を通し、サプライヤとしての仕事を学ぶ。一方で日本の製造業の枠組みの継続性を感じ、加工リソースを商品として工場間でシェアを行う技術のECサイト、ASNARO(アスナロ)を立ち上げる。同事業において十六銀行第21回NOBUNAGA21「優秀賞」、日本青年会議所第7回価値デザインコンテスト「経済産業大臣賞」などその他多数受賞。「技術を再評価し、子供に継がせたいと思える業界をつくる」をテーマに邁進。

14:30-14:50

DX実践道場成果発表

DX実践道場に参加した事業者が取り組んだプロジェクトの内容や成果などについて発表します。

登壇者
河野 泰樹 氏
太原 真弘 氏
二宮 恵 氏

代表取締役

河野 泰樹 氏

係長

藤野 晋哉 氏

株式会社カワミツ

太原 真弘 氏

シンワ株式会社
代表取締役

二宮 恵 氏

有限会社備後レポート社
代表取締役

14:50-15:30

パネルディスカッション

・DXを推進する上での苦労点とそれを乗り越える方法について

・自社の将来像を実現するためのDX実践の方向性につい

DX実践道場参加事業者や広島県知事がデジタル技術を活用した課題解決までの道のりや今後のビジョンについてディスカッションします。

パネラー

DX実践道場参加事業者

河野 泰樹 氏

河野 泰樹 氏

株式会社カワミツ
代表取締役

太原 真弘 氏

太原 真弘 氏

シンワ株式会社
代表取締役

二宮 恵 氏

二宮 恵 氏

有限会社備後レポート社
代表取締役

湯﨑 英彦

広島県知事

ファシリテーター

荒瀬 光宏 氏

株式会社デジタルトランスフォーメーション研究所 代表取締役

イベント概要

開催日時
2024/3/27(水)13:30-15:30
参加費
無料
参加方法
【会場】 広島コンベンションホール 大ホール3C 〒732-8575 広島県広島市東区二葉の里3-5-4 Googlemap 【オンライン】 お申込み後、メールでご案内するURLへアクセスください
申込方法
参加申込はこちら(終了)
※会場満席のためオンラインのみの受付となります。
定員
会場:先着100名
主催
広島県総務局DX推進チーム
禁止・注意事項
  • セミナーの録音・録画・撮影は禁止です。
  • 上記禁止事項が認められた場合、今後のセミナー等へのご参加をお断りする場合がございますのでご了承ください。